《MUMEI》

いつものようにランニングをしていた。


景色が変わらないとつまらないから、


毎日少しずつコースを変え、


散歩も兼ねて走っていた。


近くのコンビニの前を通った時だった。


「…黒田?」


コンビニから出てきた男が話しかけてきた。


「…?」


知らない奴だった。
でも彼は僕の名前を知っていた。


「黒田っしょ?」


微笑みながら近づいてきた。


「…そうだけど?」


少し息を切らしながら、
僕が答えた。


「あ、俺B組の北村。
北村大和。」


「ヤマトくん?
隣のクラスじゃん!!」


「うん。
まぁ座れよ。」


コンビニ前に座った。


「ほい。」


「あ、ありがと。」


飲み物をくれた。


「お前何で走ってたの?」


「いや…日課?
だからかな?」


「ふ〜ん。
じゃあ毎晩走ってんの?」


「まぁ、雨とか降んなきゃ。」


ちょっと笑いながら言った。


「部活入んね〜の?」


「あぁ。
バスケ部いたけど、
4日で辞めた。」


「早!!」


ヤマも笑ってた。


「ウチのバスケ部強いらしいからな。」


「うん。」


「黒田。」


「クロでい〜よ。」


「そか、クロ。
お前明日もここ来るか?」


「雨が降んなきゃ来るよ。」


「俺も一緒に走ってい〜か?」


「いいけど。
始める時間とか決めてないよ?
テレビ見てから走ることとかもあるし。」


「んじゃ走る時メールくれ。」


「わかった!!」


僕とヤマはアドレスと電話番号を交換して、


また僕は走り始めた。


「クロ!!」


「ん?」


「また明日な!!」


「うん。バイバイ!!」


ただの日課だったランニングが少し楽しみになった。

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