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《MUMEI》 孝太が『シューズクラブ』に来た目的。 それは、妹の琴子の為に 幼なじみの…行方不明だった和馬を連れ戻す事だった。 「孝太と和馬と、琴子ちゃんの事は、俺より蝶子の方が詳しいかもね。 …俺としては、和馬をすぐに帰したかったけど和馬が嫌がってさ。 『雇ったばかりでクビにする気かよ』って怒るし… いきなり店に来て、『雇え』って強引に言われて雇ったんだけどね…って どうしたの?」 首を傾げた私に、俊彦が質問した。 「最初から、『雇え』って?」 私が確認すると、俊彦は頷いた。 「何か…違った?」 「うん。…でも、そっちの方が、納得」 和馬は琴子を傷付け、琴子は和馬を傷付け、一緒に居づらくなった和馬はここに、『シューズクラブ』にやってきた。 そんな和馬が、ホストクラブの店長に言われた通り、『アゲハ』を、俊彦を説得するのは、考えてみたら、…おかしかったのだ。 「で、和馬が嫌がったから、仕方なく、孝太は『シューズクラブ』に就職したの?」 「…それだけじゃ、無いよ」 俊彦は、躊躇いながら、続けた。 「靴を選びたい女の子が、…ずっと好きな女の子がいたから…だよ」 前へ |次へ |
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