《MUMEI》 ◇◆◇ 「───────」 草薙は足早に、入り組んだ碁盤目状の道を進んでいた。 まだ咲弥はそう遠くへは行っていないはずだ。 平安京のどこかを彷徨っているに違いない。 西へ向かったが、咲弥の人影らしきものはない。 しどろもどろに道行く人や鉢合わせた人に聞いて回る。 だが誰も咲弥の姿を見ていないのだと言う。 「‥‥‥‥‥‥‥‥」 草薙は途方に暮れた。 一体どこへ行かれたのだろう。 不安に駆られつつも草薙は踵を返すと、今度は反対の方角へと歩みを進める。 ◇◆◇ 前へ |次へ |
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