《MUMEI》

「ここが部室。」


「いや、入りずらいよ。」


「大丈夫だから!!」


ヤマが部室のドアを開けた。


「こんちわ〜す!!」


「お〜っす。…誰?」


「あ。こいつ1年の黒田…」


「小太郎。」


「1年の黒田小太郎です。入部希望者です。」


「いやいや!!今日はとりあえず見学です。よろしくです。」


「お!!新入部員か!!よろしく!!」


「いや…だから…」


「キャプテンの飛田さん。」


「よろしくな。」


「あ…よろしくお願いします。」


「よろしく〜!!」


他の先輩たちも話してくれたけど、覚えてない。


めっちゃ緊張してた。


まだ部員になったわけでもないのに、準備を手伝った。


「じゃあ体育館の端で見学してて。」


「あ…はい。」


制服のまま、見学してた。


ハンド部は体育館の半分を使って練習していた。
もう半分はバレー部が使ってた。


よかった。
バスケ部じゃなくて。


「ヤマト!!今のはパスだ!!周りよく見ろ!!」


「すいません!!」


初心者の僕は、ルールもわからず、ただただ感心しながら見ていた。


ルールはわからないが少しずつ…


ハンドボールに惹かれていた。


「小太郎くん?」


「はい?…あ!!」


同じクラスの藤田さんだった。


「小太郎くんもハンド部入るの?」


「いや、とりあえず見学。」


「そうなんだ。楽しいよ。ハンドボール。」


「藤田さんハンド部のマネージャーだったんだね。」


「うん。中学でやってたんだけど、赤高女子ハンド部ないからマネージャー。」


「そうなんだ。」


「黒田〜!!」


先輩が呼んでる。


「あ…なんですか?」


「ちゃんと見とけ〜。」


「すいません!!」


「マネージャー!!」


「はい!!」


「飲み物持ったまま歩き回るな〜。」


「あ〜!!すいません!!」

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