《MUMEI》 「『運命』…か」 俊彦は、ポツリと呟くと、急に起き上がった。 「…どうしたの?」 つられて、私も体を起こし、ベッドに腰かけた。 「ちょっと待ってて」 ? 俊彦は、部屋を出ていった。 「…これ」 戻ってきた俊彦は、グシャグシャに丸められた紙を、私に手渡した。 (『見ろ』って事よね?) 私は、紙を開いた。 「…孝太の言葉を借りると、繋がってるんだろう? 俺と蝶子の運命は」 その紙には、『ブレスレット』と書かれていた。 確かに昼間、俊彦に抱きつき、キスをしていた女性は、金色のブレスレットをしていた。 「でも、孝太さんの紙にも…」 「同じなら、俺の方が上だ。 俺の方が蝶子を好きだし、蝶子も、俺を嫌いじゃない。 嫌いだったら、ここにいない。 …そうだろう? 自惚れても、いいだろう? なぁ、蝶子」 俊彦は、私の目の前にひざまずいて、私の手をとった。 「俺は、『ブレスレットの女の子』を、蝶子を、ちゃんと『持ち帰った』。 だから… 今夜は、これだけ …許してくれ」 そう言って、俊彦は、私の手の甲に、軽くキスをした。 その時、私は自然に体が動いた。 前へ |次へ |
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