《MUMEI》
八つ当たり
   〜麗羅視点〜


「私、お手洗い行ってくるね」


真星は、笑顔で私たちに手を振って歩いていった。


「まほ・・・・・し。行っちゃった」


呼び止めようとした声も虚しく真星は教室から出て行った。


私と歩の間に微妙な空気が流れる。


「麗羅チャ「真星が私に酷いことを言った子達と一緒に居たのは確かだけど


真星は私に酷いこと一言も言ってないし、真星のこと何も知らないのにあんな言い方するなんて酷いよ・・・!」


私を呼ぶ歩の声を遮り、怒ったように言った。


"別に気にしてないから"っと言って笑った真星は

どこか悲しげで、無理して笑ってるみたいに見えた。


真星のそんな笑顔が栄実と被ってしまい、歩に怒りをぶつけていた。


「ごめん・・・・・。」


歩は叱られた犬のように肩を丸めて謝った。


「私には謝らなくていいよ」


キツイ口調で歩に当たってしまう。何でこんなにイライラしてるんだろう・・・?


「ごめん。頭冷やして来る・・・。」


これ以上歩と居たらもっとキツイことを言ってしまいそうだったから、1人になるため歩にそう言い教室を出て行こうとすると


「麗羅チャン・・・!」


歩が私の左手を掴んだ。


「お願いだから、今は1人にして・・・」


笑顔の欠片も浮かべず、歩の目を見て言う。


歩は何か言おうとしたのか口を開きかけたが、何も言わずそっと私の手を離した。

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