《MUMEI》 あの、昼間の女性がしていたような濃厚なキスは、私にはとても真似できないから。 ほんの一瞬で、私は俊彦から離れた。 「蝶、…子?」 俊彦は、目を閉じる暇も無かった。 ただ、呆然と私を見つめ、唇を押さえていた。 「手の甲のキスのお返し… しないと、いけないんでしょう? 昼間、もらってたから、いらないかもしれないけど」 「そんな事、…無い。 うわぁ、どうしよう、俺。 今、メチャメチャ嬉しいんだけど。 だって… 蝶子からって、初めてだし …夢じゃないよな? うわぁ、…いひゃい、ひゃんと、いひゃい!」 「…明日、仕事でしょう?」 俊彦は、綺麗な顔を何度も笑顔でつねっていた。 「おやすみ」 私は、俊彦に背を向けて、横になった。 「ね、ねぇ、蝶子ちゃん…」 「何にもしないって、言ったよね?」 「…足は触らないからさ。ちょっとだけ」 俊彦が、私の肩に手を置く。 「今日は、もうダメ。…疲れた」 私は本当に疲れていた。 「『今日は』って事は… これからは?」 俊彦が、私の肩を揺すった。 「わからないけど、そのうち…大丈夫か…も…」 (眠い) 前へ |次へ |
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