《MUMEI》

準々決勝の相手は海南高校。


海南高校は毎年ベスト4に入る強豪高校だった。


「海南のスタメンに2年が1人いる。珍しいな。」


「そうなんすか?」


「珍しいね。練習試合以外で2年生がスタメンなんて見たことないよ。」


「どこのポジションなんですか?」


「キーパー。3年の深津がケガしたか、よっぽど上手いかのどっちかだと思うよ。」


「両方かもしんないし。」


「あ。それもあるな。」


「選手名簿見せてください。」


選手名簿にはこう書かれていた。


GK 1 水川恭介 2年。


「水川恭介?」


「ヤマ知ってんの?」


「いや、知らない。」


「上手いのかな?」


「じゃなきゃ1番は着けないだろ。」


「…そか。」


会場で着替える僕たちに藤田が近づいてきた。


「時間だそうです。」


「わかった。おい!!行くぞ〜!!」


「はい。」


高総体。
準々決勝が始まった。

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