《MUMEI》

間に車を挟む事なく、彼に追い付いた。
彼もミラーをチラッと覗いた。
道が上り坂になってくると、彼は車体を左右に軽く振り出した。
右にウインカーを出して山の方に曲がる。
「この先に峠あるのか?」
俺もその後に続く。
彼は、ミラーで俺を確認すると、スピードを上げる。
道路には無数のタイヤ痕がある。
間違い無くここは走り屋のスポットだ。

俺もスピードを上げ、彼に続く。が、コースを知らない俺は少しづつ離されてしまう。
それに気付いた彼は少しペースを落とした。

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