《MUMEI》
納得する説明
孝太の事は、もちろん気になっていた。


しかし、その前に、私はある問題に直面していた。


私が俊彦と付き合う事になった事は、その日のうちに、商店街の皆に伝わった。

そして、俊彦はその日のうちに『シューズクラブ』の美脚クイーン制度を廃止した。


ただし、俊彦は『本命が出来た』とは言ったが、私の名前は出さなかった。


しかし、とうとう…


「ここで働いている『蝶子』が俊彦の本命だって聞いたんだけど」


(バレた)


『シューズクラブ』の俊彦ファンの、…おそらく代表者であろう、数人の女性が『クローバー』を訪れたのだ。


(まぁ、よくもった方よね)

壁のカレンダーをチラッと見てみると、今日で丁度、私と俊彦が付き合い始めてから、十日目だった。


「どうする?私から説明しようか?」


咲子さんが厨房に来て、小声で言ったが、私は首を横に振った。


「ちゃんと、『設定通り』に説明すれば、大丈夫だからね」


心配する咲子さんに、私は頷き、ホールに向かった。

(大丈夫…よね?)


瞳さんが力説してたし。


和馬と琴子の了承を得たし。


…俊彦も、一応納得したし。


「お待たせしました」

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