《MUMEI》

覚悟はしていたが、私を上から下までチェックしてから出た女性達の言葉は散々なものだった。


「短い髪ね」
「…その年ですっぴんで、よく人前に出れるわね」
「何て色気のない格好!足も隠れてるし…あぁ、自信無くて隠してるのね」


「…おっしゃる通りです」

ここで、私が怒っては、話は進まないので、私は精一杯の作り笑いを浮かべた。

そして


「俊彦の本命は、私じゃなくて…

『彼』ですから」


私は


瞳さんにもらった


俊彦の『恥ずかしい写真』を


俊彦が…


嫌がる和馬に抱きついて、うっとりとしている写真を女性達の目の前につきつけた。


女性達は、呆然として、その写真を見つめた。


「合成じゃないですから」

私は、写真を中央にいた


運動会で俊彦にディープキスをした女性に渡した。


「私はただの幼なじみで、俊彦に、『恋人のフリ』を頼まれただけです。

和馬には琴子という可愛い恋人がいるし、自分の恋は叶わないから…

友達として、側にいたいからって…

本当は、今でも和馬を愛しているのに」


「そんな…」


女性達の呟きに、私は不安になった。


(やっぱりこの設定は無理があるよね)

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