《MUMEI》

準々決勝が始まった。


試合は去年とは違いすぐに動いた。


海南のロングシュートを止められない。


逆にこっちのロングシュートは入らない。


かろうじてヤマが1本決めたものの、1対4と差が開いていた。


(流れを作らなきゃ。)


少し焦っていた。


翔太が2、3枚目の間を突破。確実に1本決める。


しかし、リスタートの早い海南。


すぐに返してきた。


「決めたからってたらたら戻ってくんな!!」


ヤマが渇を入れる。


僕たちは持ち前の攻撃力を活かし、着実に点を重ねていった。


しかし、海南の攻撃を止められない。


前半終了時。


14対16。


2点負けていた。


「赤高のキーパーやけにレベル下がったな。」


「しょうがないよ。去年の人のレベルと比べたら。」


「水川。お前どう思う?」


「どう思うって、キーパーよりフィールダーだよ。あの45確実に去年より上手くなってる。実際お前らより上手いよ。あのキーパーから16点しか取れないお前らと、俺から14点とってるあいつら。どっちが上かわかるよな?」


「…」


「あの45には隙見せんなよ。」


「…わかった。」


(そして、あのサイドにも隙は見せらんね〜な。アイコンタクトだけで、ヤツのパスに合わせる他のヤツも油断ならないしな。)


そしつ後半が始まった。

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