《MUMEI》

突然リナ先輩は私の前に立って、一言つぶやいた。


「キスマーク」


私は焦って首元を押さえた。


「チラチラ見えるわよ。キスマーク。フフフ」


リナ先輩は嬉しそうに私を見る。


「若いっていいわねぇ〜。最近、土日を休むと思ったら、そういうことだったんだぁ〜」


と、楽しそうにひやかす。


「ち、ちがいますよっ!」


私は一生懸命誤魔化そうとするがリナ先輩には通じず・・・


「いいのよ、分かってるから。で、いつから???」


「え・・・いつって、先週からです・・・」


思わずつられて言ってしまった。


「いや〜ん。ホヤホヤじゃない」


リナ先輩は一人で勝手に盛り上がっている。


「どうしたんですか?そんなに盛り上がって」


突然、上原が現れた。


「さとちゃん、彼氏が出来たんですって。ムフフ」


「ちょっ、リナ先輩!」


そんな私の言葉を無視して、上原は大真面目な顔をして、


「そっかぁ〜、佐藤さんも売り切れちゃったか・・・。残念だなぁ〜」


と、悔しそうに言う。


「あら、まだ私が残ってるわよ」


リナ先輩が言うと、


「あ、俺忙しいんで・・・じゃ」


と、上原は退散してしまった。


「何よ、失礼ね。フンッ」


まぁまぁと私はリナ先輩をなだめ、


「これ以上、言わないでくださいね!秘密ですよっ」


とお願いした。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫