《MUMEI》

「何をそんなに怒ってるのよ・・・」


千夏が呆気に取られている。


「あ・・・ごめん。」


怒りが込み上げてきて・・・


「ただの友達なんでしょ?なら、そんなに怒ることないじゃない」


そうよ、ただの遊び友達なんだから、そんなに怒ることなんて・・・


「でも彼女いるなんて驚きね。そんな雰囲気一切なかったのに・・・」


私には彼女いないってハッキリ言ったくせに。


「愛加?どうしたの?」


「えっ?」


「もしかして佐久間さんのこと、ショックなの?」


私がショック?


「そんなことないわよ。私には太一がいるし・・・」


「そうね・・・。でも、なんだか残念だわ」


千夏は佐久間さんと自分を重ねていたから・・・


「だから千夏と佐久間さんは違うって言ったでしょ?」


「あぁ・・・そうね。読み間違いかぁ・・・」


千夏は悔しそうな顔をしてビールを飲み干した。

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