《MUMEI》
味方 〈私〉
「……え、」



先に反応したのは、椎名くんだった。



「…信じてくれる、ってそれ、ほんとっすか!?」



香織さんはポットに茶葉を入れ、柔らかく微笑んだ。



「ええ。―…第一、ようちゃんはそんな喋り方しないもの」


「で、でも…!!」


…こんな漫画みたいな話―…



私が思わず声を上げると、



「…ようちゃん、この紅茶の種類は??」



カップに注いだ紅茶を掲げて、香織さんが私に視線を向ける。



「…え、えと―……」


この香りは―…


「―…ダージリン、かな??」



私が恐る恐る答えると、



「…正解。―…さ、2人とも、座って」



香織さんはまたにっこりと微笑むと、小さなテーブルの2脚の椅子を指し示した。

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