《MUMEI》 プロローグ『なんか安っぽい話だよねー』 中学生の時、当時ヒットした携帯小説を友達と読んだ。 感想は一言。 (アホくさ…) 『ぶっちゃけ、エロいシーンしかリアルじゃないじゃん』 『病気の人間がそんなことできるわけないし』 『共感して泣けたってヤツがいっぱいいるけど、こんなイタイ話に共感できるってどうよ?』 …そんな事を言い合いながら、その子と一緒に鼻で笑った記憶がある。 私はそれ以来、携帯小説は手に取らなくなった。 恋人の死、援交、レイプ…。 本当は重いはずのテーマが、使い回されるほど軽々しくなるように思えて嫌。 悪いけどお腹いっぱいだ。 大学の卒業を控えた、秋のはじめ。 寝る前に、ふと思い立って携帯を手にした。 検索するのは小説。恋愛モノのやつ。 普段から読書の習慣はある。だけど恋愛モノには滅多に手は出さない。 しかもいわゆる“携帯小説”なんて……。 とりあえずランキング一位の小説を読んでみる。 女子高生の話だ。 彼氏がどうのこうの、友達がどうしたこうした……。 ありきたりな内容。 読み進めるうち、眠気が襲ってくる。 夢とも現実ともつかないフワフワした微睡みの中に堕ちて。 気がつくと、目の前にひとりの女子高生がいた。 次へ |
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