《MUMEI》
浮いた存在
『私はお前らとは違うんだ』


 裏付けの無いプライド。
 とりあえず、ダサいのも見下されるのも嫌だった。
 何様のつもりだったんだろう。 勝るものなんて何一つ無かったクセに。
 
――――――――――――

 私?とりあえずチカって呼んでよ。
 本名かどうかなんて、大した問題じゃないし。
 今ね、一応高校生。一応ってのは、もしかしたらダブるかもしんないから。
 私ね、高校に入ってから落ちこぼれたんだ。
 これでも中学生の頃はいわゆる優等生だったんだよ?
 生徒会やったり、部活の部長やったり。
 おかげで偏差値高めの高校に入れたけど、周りも似たような頭の子ばっかですぐ置いてかれた。

 ぶっちゃけ、部活も勉強もやる気もない。
 そのくせ変なプライドだけはあるんだけど。

 まぁ、それまでオシャレとかもあんまり興味なかったから、見た目も冴えないまんま。
 こんなんで派手なギャルグループに入っていけるわけないよね。 あいつらうるさいだけだから別にいいんだけど。
 結局、友達って事で普段仲良くしてたのはクラスの中でも目立たない、要は“陰キャラ”集団。

「チカ〜、この漫画貸すよー」

「いや、いいよ。それ、BL本だし……、って勝手にカバンに入れるなっつの!」

 とりあえず一年の時は毎日こんな感じ。
 皆悪いヤツではなかったし、そこそこ楽しかったけど、何か物足りない。漫画も面白いけど、そこまでハマらない。

 でも、この陰キャラ集団、ギャルグループやら男子やらに陰で笑われたりしてるのもちゃんと知ってたよ。
 ギャルグループの中の、一緒に帰ったりしてそこそこ仲良くしてる子にもこっそり悪口聞かされた。
 そういうの聞くと、あんまり陰キャラ集団と関わりたくなくなるよね。私も周りからの評価って気になるし。

 だから私、自分は“浮いた存在”で良いと思うんだ。

 どこのグループとも仲良くするけど、どこにも属さない。
 実際、そんな感じで見られてるみたいだし。



 だってぶっちゃけめんどくさいじゃん。
 話してることもやってることも正直クダラナイ。そこは陰キャラ集団もギャルグループも一緒。


『私はお前らとは違う』


 自分一人ぐらいそんな風に強気に思っとかないと、やってけない。



 別に、開き直りなんかじゃないよ。

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