《MUMEI》

翌日、昼過ぎに担当の刑事から報告が入った。


「仕事はお休みされてるんですか?」


「はい・・・上司にも二、三日ゆっくりするよう言われましたから・・・」


朝早くに大西課長からそう言われていた。


「例の上原ですが・・・あなたに対し、かなり執着していて随分前から身辺を探っていたようです。何かお気づきになられてましたか?」


「いえ・・・何も」


そう答えながら、ここ数カ月は上原がやたら側にいたことを思い出す。


「まぁ・・・いわゆるストーカーってやつですな」


刑事は淡々と説明を続け、


「そして高校時代の同級生で恨んでいた佐久間とあなたが懇意な関係であることを知り、それを良く思わず手紙などで嫌がらせを始めたようです・・・」


「なんで佐久間さんを恨んでいたんですか?」


佐久間も答えてくれなかった、一番気になっていることを聞いた。


「女性関係ですよ。高校時代に上原の女を佐久間が奪ったんです。それを根に持っていたようですね」


「そんな昔のことで私がこんな仕打ちを・・・」


あまりにくだらない理由で余計に腹が立った。


「上原は佐久間によっぽどの恨みがあるのか、数年前にも嫌がらせをしていたようです・・・」


「上原さんは佐久間さんのことを『人殺し』と言ってました。何かあったんでしょうか?」


上原がそこまで言う理由が知りたい。


「佐久間は普通の男ですよ。特に犯罪歴もないし。
それより上原は少し精神的に異常がありますから・・。
まぁ、それでおかしなことを口走ったのでしょう」


それだけのことか・・・


「わかりました・・・。ありがとうございます」

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