《MUMEI》

「けっこん!?」


突然のことすぎて、思わず笑いが出てしまった。


「急に何を言い出すかと思ったら、もうやだぁ〜」


「俺は大真面目だぜ。返事を聞かせてくれよ」


笑う私に対して太一は真剣な顔をしている。


「返事って・・・そんな考えてもみなかったことで、どうしたらいいか・・・」


私は言葉に困った。


「俺たち付き合ったのは1年くらいだけど、知りあってからは5年だよ」


太一は戸惑っている私の背中を押すように言った。


「そっか・・・もう5年になるのね。」


「そうだよ」


太一と結婚・・・


「何を悩むの?」


太一が返事を催促する。


「そりゃ・・・悩むわよ。まだ社会人になったばっかりだし・・・」


「年齢なんて関係ないよ。俺たちなら上手くやっていけると思う!」


太一は力強く言う。


しかし、なぜかすぐに返事をする気になれなかった。


「なんだか色々ありすぎて頭が混乱してるの・・・もう少しだけ考えさせてもらえないかな?」


太一は少しがっかりした顔をして、


「分かった…。良い返事、待ってるから」


と言った。

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