《MUMEI》

俺は、彼をヨッチャン、彼は、俺を翔さんと呼ぶ事になった。
ヨッチャンは、今日から3連休らしく、土日も来ると言う。
「奥さんに怒られんの?」

「うん、実家に遊びに行くらしいけん」

「なら、良かった。じゃあ少し走る?」

「うん、慣れるまで先行しようか?」

「ヨロシク」
そう言って走り出した。一本目で、タイヤを温め、ニ本目からペースを上げる。
まずは、コーナーの数を数えてからコースを覚える。

その方がイメージし易く覚えやすい。
次に、ヨッチャンのラインをなぞる様に走る。
どの位走っただろうか?薄暗くなった頃にはコースも覚える事が出来た。
ふもとの駐車場に入り、バイクを降りる。
「今日、どこに泊まるん?」

「それも、まだ決めてない(笑)近くにある?」

「あるよ、僕の会社のお客さんが良く泊まるんやけど、安くて温泉付き」

帰り道にあると言う事で、案内して貰い、そこで別れた。

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