《MUMEI》





「――お疲れ」


「――――――」




オデコにピタリとミネラルウォーターを押しつけるも惇は身動き一つしない。




――やっとこ東京脱けして川崎市の外れまで来た。



都内じゃ見かけないだだっ広い駐車場完備のコンビニに前進で突っ込んで初めての休憩。



惇はエンジン切るなりガクンと椅子をリクライニングさせてひっくり返り、目を瞑ったまま…動かなくなった。





「――限界」


「――惇」



―――――もう、罪悪感でいっぱいだ。



――なんか俺悪のりしたみてえ。




ペーパーっつたって免許あるんだから平気だろうって軽く考えていた。



どうせ30分も転がせば感が戻って案外平気に運転してくれるんじゃないかって軽く考えて…。




終始こわばった状態で運転してくれて、ここの駐車場に入る様に指示すると初めてほっとした様子でハンドルをきった。


俺も惇の位置まで椅子をリクライニングさせて、惇の髪に手を伸ばすと、惇はガバッとしがみついてきた。



「もーヤだ〜!」




「そうだな、ゴメンな、怖かったなー」

「もうムリ、ヤだ、免許失効させる、車なんか大キライだ〜!」

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