《MUMEI》
――結局…
▽
つか結局また俺が運転!
――そう、飲酒運転は絶対にいけない事だから……
▽
「――ゴメンな」
「…はあ、…平気、平気だよ」
―――まあこの道一車線だし。
とりあえず始めに目についたホテルに泊まってこうって事になった。
程なくして…恥ずかしいけどラブホの看板が出てきた。
…この先二キロの表示で。
シティホテルとかビジネスホテルなんてこんな駅から程遠い県道にある様子もないしで。
――隆志に当たり前の様にそこ入ろうって言われてハンドルきった。
俺も、もう運転億劫だったのもあるし…。
ラブホなんて行った事ないからちょっと好奇心もあってドキドキなんかしてしまう。
▽
「―――広っ!」
「――スゲーなあ、地方のラブホは」
「…東京は…こんなんじゃないんだ」
隆志は一瞬動きが止まって…
「ほら〜疲れたろ?
俺風呂お湯はってくっから、な?お茶でも入れてろよ!ほら!多分棚ン中にお菓子もあるから!」
「――棚に菓子?」
隆志を見上げじっと見つめると、しまった〜って顔してる。
俺は隆志の手を引き棚を開けたらじゃがりこ一個入ってて
『見つかっちゃったv』
な〜んてメモ書きまで入っていた。
「――ゴメン」
「別に…、慣れてる方が普通だし」
俺が知るかぎり隆志はずっと女切れた事がない。
つかもう20だし、こんなにカッコイイし…。
でも正直妬いちゃうのは仕方ないじゃん。
――だって…好きなんだもん。
「――惇」
隆志の顔が目を瞑りながら傾け近づいてきた。
俺も目を瞑り顎をクッとあげる。
隆志の両肩に手を乗せて、うんと背伸びすると、隆志も俺の脇腹を掴んで支えてくれた。
「―――――――」
――隆志の…唇。
立っている時は遠い存在。
だって俺の身長、隆志の鎖骨の下だから。
触れるだけのキスの後、隆志の手は俺の背中と腰に移動し、耳元に
「――抱きたい」
って低い声で囁いた。
――もう、低い、カッコイイ声で言われたら―――――――…
「…抱いて…」
首に腕を巻きつけながら、もう俺は隆志の虜。
目線が合うと笑いながら額をコツンと重ねられ
「――有り難う」
って、凄い、柔らかく、優しく…言われた。
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