《MUMEI》

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 カフェ&バー【コスモ】は朝から繁盛している。オーナーのマリオンの手腕だ。出勤前にコーヒーやサンドウィッチを買いに寄ったり店内で朝食をとる客達。その間を縫うように、マリオンはウェイター達に混ざって注文された品々を運ぶ。背が高くスタイルの良い彼の所作は常に悠々としている。
 そんなマリオンが「これは奢りだ」と一皿余分に運んだ円卓の席で、常連達はたむろしていた。
「なぁ、あいつイケてると思わない?」
スニーカーの紐を結び直しながらも、デイビスの視線は今カウンターで会計している青年の客に釘付けだ。
「ありゃダメ。ストレートだよ」

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