《MUMEI》

ベックがテイクアウトを手早く注文している間に、テオは常連達の席に向かい、挨拶を交わした。

「おはよう。ベックは今から仕事だよな。今日も忙しいって?」

デイビスは尋ねる。

「そうなんだ。どうも最近美術館は忙しいらしくて。でも、忙しさならデイビスもお互い様だろ?プロテニスプレーヤーさん」

「そう、俺も今から練習。…ハァ」

 肩を落とすデイビス。いつのまにやらデイビスの傍に来ていたベックが、同じようにため息をつきながら同情の念を込めてデイビスの肩をぽんぽんっと叩く。
 心なしか重くなった場の空気に、アランが愚痴をこぼした。

「なーんか気晴らしに、楽しい事はないかねぇ」

「あるよ、気晴らしになりそうな事!」

 テオが彼らに会いに来た理由はそれだった。

「来週末、うちでホームパーティーを開くんだ。ふたりとも来てよ!」

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