《MUMEI》 ――――――――――――― 新しい家の居心地は、快適だった。 ティアナは昼間は大学で水泳のコーチをしている。このまちに来て2日目の午前中、ジェイクは街に慣れるために散歩に出てみた。スーパーマーケットでの求人を見つけたし、しばしば通る雰囲気の良さそうなカフェ&バーには今度来ようと思った。…店の中で、常連達がこっそり彼の噂をしてるのにも気づかずに。 そんな日の午後、ジェイクは庭の隅のベンチで読書してるうちにウトウトしてしまった。 そこに背後から聞こえてきたのは、話し声。一人は男。もう一人は低音の声をもつ女性か、少年か。いずれにせよ愉しそうだ。 ジェイクは目を開けた。彼の背後には生け垣を挟んで隣家の庭がある。 まだ接触したことの無い隣人―それは、好奇心旺盛な彼の興味を引いた。生け垣の高さからして、ベンチに座っている彼の姿は向こう側からは確認できないだろう。幸い、生け垣の枝葉の間には隙間がいくつかある。……いけないとは思ったが、ジェイクは覗いてみることにした。 前へ |次へ |
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