《MUMEI》

そして、彼もまたプールへ。金髪の男が待っている。黒髪の男は水中に潜ると、優雅に水を一掻きして金髪の男の元へ。水中から顔をあげた彼に、金髪の男が強引に引き寄せ、口づけた。黒髪の男も首に手をまわし、応える。粘りつくような、ディープキス。
 そのうち口づけは唇だけにとどまらなくなる。首筋、胸。獣が餌にありつくように、金髪の男の愛撫は激しさを増した。水に浸かっている所は、指で弄んでいるのだろう。

「………っ…あっ…」

 ほんの微かに、黒髪の男の甘やかな声が聞こえてくるような気がした。しかし、髪から水を滴らせ頬を紅潮させて、金髪の男の耳元に囁いたアルトの声はどうにか聞きとれた。

「そこ、座って……」

金髪がプールサイドに腰かける。黒髪の男は水中にいるまま、彼の熱り立つものを口に含んだ。
金髪の男の口から吐息が漏れる。

 男性同士の情事。
それは異性愛者にとっては多かれ少なかれ衝撃的であり、特に同性(この場合は男性)の目線からするとその行為に嫌悪感を抱くことが多いようだ。

 しかしジェイクはなぜか、彼らの情事から目を離すことができなかった。

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