《MUMEI》 「姉貴は、アイさんと仲良かったから、あれからアイさんが行方不明になってしまったことを、怒ってんだよ。ナナさんに対して。」 私は何も言葉が出て来なかった。そして先生のあの屋上での顔を思い出した。 きっと先生の好きな人とは、アイさんのことなのだろう・・・いや、もしかしたらユウキさんのことかもしれない。 「奏ちゃん。学校の子には秘密にしてな。」 「はい・・・。」 「久しぶりにさぁ、ナナさんが女の子をカワイイって言ったんだ。」 「はい?」 いきなり明るい声で、洋介さんが話し始めたので、私は首を傾げた。 「この間、君がここに来た後、二人で飲んだんだよ。強がりで、素直で、カワイイんだって。奏ちゃんのことが。」 私は全身が沸騰するかと思うくらい、熱くなった。 まさか先生にそんな風に思われていたとは・・・。 「おっ、奏ちゃんも満更じゃないね。君ならナナさんの固く結んだ心を解けるのかな・・・。」 私にそんなことができるのだろうか・・・。 ただ、先生が困っているなら、力になりたい。 それだけだった。 前へ |次へ |
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