貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》保護者。
アキとの生活が始まった。
わたしの最初の役割は、宣言通り料理番。
…ではなくて、宅急便の応対。
たまたま着替え中だったアキから印鑑を借り、ペタンと押印して荷物を受け取った。
それをそのままテーブルの上に置いたと同時に、着替え終わったアキが部屋から出て来た。
「サンキュ。こういうことの為に、印鑑はここに入れとくことにしよう」
「あ、うん」
「…よく親戚が贈ってくるんだ。『あんた痩せ過ぎだから、太りなさいよ』ってさ。こんな大量に」
包み紙をビリビリ破いて、箱を開けると中には有名ホテルのレトルトカレーがギッシリ詰まって居た。
「そりゃ、こんなん毎日食べてたら太るかも知れないよ?でも…、どう考えても不健康じゃん!」
そう云って、アキは苦笑いした。
わたしもつられて笑う。
「ま、せっかくだからこれ食べよっか?」
アキの変わり身の早さに、大笑いしながら、わたしは炊飯器に手をかけた。
「あ…」
「どうした?」
「ご飯、ないよ」
「あー、ここ最近炊飯器なんか使ってなかったわ」
アキの天然っぷりに、また大笑いしながら、わたしは米を研ぎ始めた。
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