《MUMEI》

「…また何で急に?」


「…」


また何も話そうとはしなかった。


「はぁ。ま。い〜けど。」


ため息が出た。
呆れてた。


「後任は?」


「たぶん新任の先生だろ。」


「ハンドボール経験者なんすか?」


「そこまでは知らん。」


「あ〜、終わったなあいつら。」


「翔太!!」


「大人に見放された子供はつらいってね〜。」


「…」


まぁ翔太の言う通りだな。
まともな指導者なしであいつらに勝機はないね。


「そりゃ残念でしたね。」


「クロ?」


「あいつらには悪いけど、僕たちには関係ないっしょ。」


「クロさんの言う通りすね。関係ない。」


「お前ら…」


ヤマは何か言いたそうだった。聞く気はなかった。


恭介は黙っていた。
赤高の問題に口を挟む気はなかったのだろう。


「ヤマ。帰ろう。」


「おい…」


僕が帰ろうとした時だった。


「小太郎。頼みがある。」


先生が話しかけて来た。


「はい?」


「…赤高の。」


「赤高ハンド部のコーチになってくれ。」

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