《MUMEI》

「いいじゃんクロ!!やりなよ!!」


「ヤマ…。悪いけど、無理ですね。忙しいし。」


やる気もないし。


「何でだよ!!」


「忙しいんだって。」


「…やりゃい〜じゃん。」


恭介が口を開いた。


「金曜のテストが終わったら、春休みだろ。別に忙しくね〜じゃん。」


「春休みは良くてもその後だってずっと続くだろ!!だいたい春休みまで返上してあいつらの練習に付き合う義理がどこにあんだよ!!」


「お前の春休みの予定なんて女と遊ぶくらいだろ。」


「だから何だよ!?」


「もういい!!」


先生が怒鳴った。
初めて聞いたかもしんない。


「悪かった。学生だもんな。忙しいよな。」


「…帰ろうヤマ。恭介、翔太今日はありがとな。」


「いえ、別に…」


「…んじゃまた明日な。」


「あぁ、学校で。」


そう言って翔太と恭介と分かれた。


僕たちも車へ。


気まずい空気の中、ヤマが口を開いた。


「…クロ、さっき恭介が女と遊ぶって言ってたけど、藤田か?」


「…いや、美紀とは別れた。」


当時マネージャーだった美紀と付き合ってた。
高校卒業前くらいに、別れたけど。


「…んなのか。」


タバコに火をつけた。


「クロ。」


「ん?」


「今度は海南の練習に行っていいか?」


「うん。次火曜日だから学校終わったら迎え行くわ。」


「頼んだ。」


やっぱりどこか気まずい空気の中、ヤマを降ろした。


「じゃあ、火曜日な。」


「うん。じゃね。」

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