《MUMEI》
何で?
「――日高、今日は俺奢るからさ、――スタバ寄ってかね?」

やっとこ授業も終わった。




やっぱ長沢の事日高に相談しときたいし…




「――うん、そうしたいのはやまやまなんだけど…遠慮しとくわ」



「!!何で!?俺の奢りなんだぞ?」





奢りに弱い万年金欠日高らしくのねー…つか誘い断られたの初めてだった。



しかも心なしか怯えて見えるのは気のせいか?





「――だ、だって…後ろ…」


「へ?」




――振り返ると



「なっ!なっ、長沢っっ?」





思わずうわずって変な高いキーになっちゃった!
そんな俺に長沢は極上の笑みを浮かべてきた。





「――聖、一緒に帰ろう?」






「――イヤだって言ったら?」




長沢は一瞬無表情になったが、またわざとらしい満面の笑顔を作った。




「俺と帰ろうね」

――一瞬の無表情、それがめっちゃ怖くて、俺は表情が固まったまま凍りついた。



整った甘いフェイスに長めの前髪。



そこから見える切長の少しつった、黒の強い眼が異常に怖かった。




日高がお先に〜と小言で吐くとそそくさと俺達から離れて行った。





「帰ろう」

「――――――」




俺は観念して長沢の後ろをついて行った。







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