《MUMEI》

◇◆◇

「まだ寝なくて大丈夫か?」

 黒蝶が尋ねると、咲弥は徐に頷いた。

 昼間の転た寝のせいで、まだ眠くならないのだと言う。

 そりゃそうだな、と黒蝶は頷いた。

 戌の刻を過ぎてはいたが、思いの外、空は明るく見える。

「───────」

「あいつはどうしてるかな」

「草薙の事?」

「‥‥‥‥まだ起きているが」

 草薙の声に、二人が振り返る。

「お前って、いつも気配もなく現れるよなぁ」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「あ、悪い‥」

 すると草薙は溜め息をついたが、去り際に黒蝶を振り返った。

「‥‥‥姫君を頼んだぞ」

「ああ、任せとけって」

 黒蝶はにっこりと笑いかけた。

◇◆◇

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