《MUMEI》

みんなと別れた後・・・


太一と手を繋いで、お互い何を話すわけでもなく歩いていると、太一が呟いた。


「この間の返事・・・そろそろ聞きたいな・・・」


プロポーズの・・・


「あ・・・うん」


と、返事をしたものの・・・まだ何も決心のついてない私は黙ってしまった。


「まだ返事できない?」


太一は少し寂しそうな顔をして言う。


「出来ないわけじゃないんだけど・・・」


「けど何?」


やっぱり今は返事が出来ない・・・


「年末年始に京都に戻ろうと思うの・・・で、その時にゆっくり考えようかと思って・・・」


また返事を先延ばしにしてしまった。


「京都に帰るの?俺は愛加と一緒に年越ししようと思ってたのに・・・」


太一は残念そうな顔をしている。


「ごめんね・・・たまには帰らないと・・・」


太一には父親のことを言わないでおいた。


「そっか・・・。分かった」


太一は私の手をギュッと握り締めて、


「その次に京都に帰る時は俺も一緒に帰りたいな」


と言った。

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