《MUMEI》
帰省
私は今年度の仕事を片付けて、その足で東京駅に向かった。




そして私を乗せた新幹線はゆっくりと動き出し、見慣れた東京の景色が過ぎ去っていく。


外の景色を眺めながら千夏の言葉を思い出す。



『いつ帰国するか分からないって・・・』



そんなの知らないわよ・・・



『このまま会えないかもしれないよ・・・』




だから?


佐久間さんと私はただの割りきった関係…


お互いに恋人がいるのに、会ってどうするの?


それに…佐久間さんのせいで私がどれだけ怖い思いをしたと思うのよ・・・




そう思いながらも、




佐久間さんが何かをした訳じゃない・・・




と、思う気持ちもあった。







『このまま会えないかもしれないよ・・・』






再び千夏の言葉が繰り返し頭の中で響く。



いいのよ・・・


会ったって話すことなんてないもの。


このままでいいの。




私は・・・




太一と・・・

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫