《MUMEI》 早めの夕飯誤魔化しきれない私は、小声で答えた。 「…何で今じゃないの?」 「だって…」 恥ずかしくて、とても言えそうに無かったから。 だから、『その時』に言おうと思った。 (怒ったかな?) 俊彦が無言になったので、私は繋いでいた手をギュッと握った。 「…ちゃんと、言うから。嫌いにならないで、ね?」 孝太と麗子さんは『俊彦は喜ぶ』と言った。 「頑張るから」 私が俊彦を見つめると、俊彦は、不思議そうな顔をして、私を見つめた。 「嫌いには、ならないから」 俊彦はそう言って、私の頭を撫でた。 それから、私達は早めの夕飯を食べた。 俊彦は、お昼は軽く済ませたそうで、私の作った夕飯を沢山食べてくれたが、私はお昼が遅かったので、あまり食べられなかった。 「雅彦が食べるから、大丈夫だよ」 「雅彦といえば、…いつもどこに行ってるの?」 運動会の時も、私達が付き合い始めてリハビリをしている時も、雅彦はいつも出かけていた。 最初は気にしていなかったが、さすがに毎回なので、気になり始めていた。 「あれ、言って無かったっけ? 雅彦、結子と付き合ってるんだよ」 「えぇ?!」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |