《MUMEI》
今と過去
   〜歩視点〜


去っていく麗羅チャンの背中を無言で見送る。


胸の奥が、きゅ―――っと痛む。苦しくて・・・でもそんな痛みも愛しい。


だって俺が麗羅チャンを大切に思ってる証拠だから・・・。


笑顔の欠片も浮かべず俺をまっすぐに見つめる麗羅チャン―――。


前はそれが当たり前だったのに・・・・・いや、最初は目も合わせて貰えなかったっけ。


少し前のことなのに何故か遠い昔の出来事のように思えた。


出会ったばかりの時に見せたそっけない態度よりも、さっきのどこか冷たい態度の方が俺にはこたえた・・・・・。


親しくなるってことは幸せなことばかりじゃないんだな。受ける傷の大きさも親しくなればなるほど大きくなっていくんだな・・・。


相手を大切に思っていればいるだけ、信頼していればいるだけ・・・・・受ける傷も大きくなる。


そう思うと少し怖くなった。


海や栄実を大切に思うことが。


麗羅チャンを好きでいることが・・・。


今まで、麗羅チャンに会えて良かった、好きになって良かったっとしか思ったことがなかった。


初めて出会った時より、今の方がずっとずっと麗羅チャンのことが好きだ。


でも愛しいと思う気持ちと同じぐらいのスピードで不安や恐怖も膨らんでいく。

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