《MUMEI》

「…いいから、もう、服、着なよ」


俊彦は、私の側に寄る直前で、目を背け、立ち上がった。


(…嫌だったんだ)


私は、恥ずかしさと後悔でいっぱいになった。


「…っ…ごめ…っ…」


私に背を向けた俊彦に謝ろうとしたら、涙が出てきた。


「あぁ…もう!」


次の瞬間。


「とっ…し…ひこ?」


「…出来るの? 本当に。孝太や麗子に言われて、無理してるんじゃないの?」


俊彦が私を抱きしめながら、訊いてきた。


「で…きるもっ…」


本当は自信は無かったが、私は俊彦にしがみついて答えた。


「じゃあ、おいで」


「? どこへ?」


「風呂場」


「…えっ?」


驚く私の手を、俊彦はグイッと掴んでズンズン歩いていく。


「な、何で?」


引きずられるように歩きながら、私は質問した。


「俺の全部見るんだから、蝶子も見せて。
じゃないと、嫌だ」


脱衣所に着いた俊彦は、躊躇いなく衣類を脱ぎ捨て、全裸になった。


(うわっ…)


引き締まった、適度に筋肉のついた綺麗な身体。


「ほら、蝶子も」


「私…俊彦みたいに、綺麗じゃないよ」


もうほとんど全裸に近いのだが、私は躊躇った

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