《MUMEI》

嫌だ。

こんなにも負の感情で満たされてしまった。
俺は二郎しかいないのに傷付けた。




いつもなら、わざと二郎が探しやすい橋側に行くところだ。

疲れ果て、自転車で遠出してしまった。


広い公園で、既に子供達は帰ろうとしている。
俺だけ逆走していた。

人気のない遊具に落ち着く。ブランコなんて何年ぶりか。

あいつらとも限界かもしれない。

二郎のあの、穢れない笑顔を守れる自信が無い。







二郎が俺に寄せる信頼を裏切りたくない


でも


この気持ちは押し付けるほど俺に逆らいたがる。

このまま消えてしまえばいいのに。


「乙矢……」

太郎兄だ……

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