《MUMEI》

その間、ずっと俊彦は私の真後ろにいた。


「流すね」


私が洗い終わったのを確認して、シャワーをかけてくれた。


「はい、交代」


終わると、当たり前のように私にシャワーを手渡し、背中を向けてきた。


仕方なく、俊彦にシャワーをかけて、背中を洗う。


「…痛くない?」


父親以外の背中を洗うなんて初めてで、緊張した。


「丁度いいよ。滑っても構わない」


「お、終わり! はい!」

私は慌てて俊彦にスポンジを手渡して、手についた泡を落とし、湯船に勢いよく入った。


そして、俊彦がゆっくり前を洗っている間に、慌てて風呂場から脱衣所に移動した。


(あ〜、恥ずかしかった)


バスタオルを巻いてから、思わずその場に座り込んだ。


前も、俊彦の裸は見たはずなのに…


もっとすごいことをしたのに…


ものすごく、ドキドキした。

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