《MUMEI》

「よし、」
自分の『理想』的な走りをイメージして納得していた。
「この走りが出来たらなぁ…最高〜」

ダンッ!「イテッ」

仰向けになり手足を大きく開き、大の字になった俺の左手は窓枠に裏拳を放ってしまった。
が、やられたのは俺で、左手の甲を押さえて、赤子のように丸まった。
「イタイよ〜…」
と言いながらも、俺はニヤケていた。
もちろんこの後の峠を思い浮かべてだ。

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