《MUMEI》

「お〜い? 退いてくれないと、出れないよ」


「あ、ごめ…」


私は慌てて振り向いた。


!!


「ん?」


俊彦は、不思議そうに立っていた。


「…隠してよ、前!」


私は真っ赤になって脱衣所の隅に這って移動した。


「今更…だろ?」


俊彦は、裸のまま、壁の方を向いている私を後ろから抱き締めた。


「だ、だって…」


「ん?」


うなじに唇を当ててくる。

「…っ…ドキドキするから、やめてよっ…」


「ヤ・ダ」


俊彦が手を伸ばすと、簡単に、バスタオルが外れ、ハラリと落ちた。


「風邪引いちゃうから…きっンッ…がえ…っ」


俊彦は私の背中を舐めたり、唇を押し当ててるのをやめない。


「もうちょっと…」


「……っ……」


後ろから、俊彦の大きな腕が伸びてきて、私の胸をすっぽり包み込んだ。


「ハッ…」


必死で声をこらえ、俊彦の手を振り払おうとするが…

力が入らない。


「ずっ…と、気になってたんだけど…」


「?」


俊彦の右手が胸から下へ移動し始めた。


「ちょっ…?…ヤッ…」


「上から下って…『ここ』ってどうなの?」


「ヤダッ…」

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