《MUMEI》

私は震えながら、首を大きく左右に振った。


「…ん? でも」


「アッ!」


俊彦が中指をクッと曲げた拍子に、堪えていた声が出てしまった。


「『ここ』、大丈夫なんだね…さすがに、キツイけど」


「ヤッ…恥ず…かしいっから…指…ヤダ…」


「先週は、俺の、恥ずかしいトコ気持ちよくしてくれたから…お返し」


俊彦は、指を小刻みに動かし出した。


「そ…ッ…ヤダぁ…!」


私は涙が出てきた。


「体は、そうじゃないみたいよ?」


俊彦は、唇で背中を、左手で、胸を、右手の指で中を同時に愛撫した。


「もう…ヤッ…」


後ろに俊彦が何人もいるような気がしてくるほど、私の体はわけがわからなくなってきてしまった。


恐いのとは違う、別の震えが体を襲う。


「ンッ…!」


一瞬、頭が真っ白になって、ガクンと力が抜けた。


俊彦は、私を支えながら、『こっち向いて』と甘く囁き


顔だけを向けた私に優しくキスをした。


(あぁ、またクラクラする…)


そして、気を失った私を俊彦が介抱したらしく


目が覚めた時、私はパジャマを着ていて


俊彦のベッドにいて


目の前に、俊彦の寝顔があった。

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