《MUMEI》 「水着…って、あのビキニ?」 「うん…だってそれしか無い…し?」 俊彦が新聞を置いて立ち上がった。 「俊彦?」 「ダメだ!」 「え?」 俊彦は、私の両肩を掴んだ。 「あんなの着て、他の男の前に出るなんてダメだ!」 「他の男って…」 雅彦は、俊彦の弟だし。 平日のスポーツジムには若い男性はほとんどいないと結子さんも言っていた。 「とにかく、ダメ!」 「え〜」 (久しぶりに、泳ぎたいのに) 私は泳ぐのが大好きだった。 今年の夏までは、足を出すのに抵抗もあったが、俊彦のおかげで、それも無くなっていた。 「どうしても、ダメ?」 「そんな可愛い顔してもダメ! 来月の旅行まで待ちなさい!」 来月は、商店街の旅行があり、運動会で優勝した俊彦に主導権があった。 俊彦は、泳ぐのが好きな私の為に、温水プールがある温泉旅館を予約していた。 「見られるの一緒じゃない…」 「それは、まぁ、イロイロ考えてるから…」 「?」 俊彦は、それ以上、語らなかった。 そして、私が水着を着れないようにと、わざと目立つ位置に、キスマークを強引に付けた。 前へ |次へ |
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