《MUMEI》 「愛されてるじゃない」 スポーツジムの更衣室で着替えている時、結子さんに早速キスマークを発見された。 「ゆ、結子さんだって、雅彦と…」 「もちろん、ラブラブよ」 結子さんは嬉しそうに笑った。 (そうだ…) 「結子さんて、いつから雅彦が好きだったんですか?」 私は疑問に思っていた事を訊いてみた。 「ん〜、雅彦が『シューズクラブ』に勤め始めた頃かな? 私が雅彦を指導した時から」 「指導?」 私が首を傾げると、着替を終えた結子さんは、荷物を入れたロッカーを閉めて、頷いた。 近くの椅子に並んで座って、スニーカーを履きながら、話を続ける。 「ほら、雅彦って不器用でしょ? だから、俊彦に頼まれて、紐の結び方の指導を私がしたのよ」 (なるほど) だから、雅彦は紐の結び方が綺麗なのだと納得した。 「でも、それで、どうしてですか?」 結子さんは、雅彦と違って手先が器用だったし、アウトドアの雅彦に対し、結子さんはインドアタイプで、接点が無いように思えた。 「あそこまで不器用だと、逆に可愛くなっちゃってね。 それに、運動してる時はかっこいいし。 お互い無いもの持ってて、かな?」 前へ |次へ |
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