《MUMEI》 いかにもな体格の、男性は、『伊藤』と名乗った。 「おや、同じ伊藤ですか!」 「あ…」 「『藤』じゃなくて、『東』ですけど」 返事をしようとしたら、俊彦が口を挟んだ。 伊藤さんは、ハハハと豪快に笑った。 いかにもな、欧米的な営業スマイルで。 「まぁ、同じ読み方ですから!じゃあ、行きましょう、村居さん、蝶子さん!」 「あいつ、ムカつく」 俊彦がボソッと呟いた。 「ま、まあまあ。同じ名字だから、そんなに深い意味は無いのよ」 私は俊彦をなだめながら、伊藤さんの後に続いた。 最初にやってきたのはマシンルーム。 (あ、雅彦と結子さんだ) 二人は並んでランニングマシンを使用していた。 雅彦はジョギング・結子さんはウォーキングに近いスピードだった。 「知り合いですか?」 「あ…」 「弟と、その彼女です」 私が答えようとすると、俊彦が営業スマイルで答えた。 「そうですか〜、どうです? これを期に、会員に…」 「考えておきます」 俊彦は、私の肩を抱きながら、営業スマイルで答えた。 ? (普段は人前であまりベタベタしないのに…) 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |