《MUMEI》

「では、一通りのマシンを試していただきましょうか」


そう言って、伊藤さんは、自転車型のマシンへ私達を誘導した。


「では乗ってみてください」


言われて、私と俊彦は、隣同士で自転車に乗ろうとした。


「あ、ちょっと待って」


「はい?」


「それじゃ、高さ合わないから」


そう言って、伊藤さんは、サドルの高さを調整してくれた。


「ありがとうございます」

「いいえ!」


(声、大きいな…)


気にしながらも、自転車に乗った。


「…で、こげばいいですか?」


「あぁ、はい。負荷は、男性の基準値は、この位で、とりあえず、今回は五分で」


伊藤さんはテキパキとボタンを押した。


「あんまり軽かったら、ここ押して下さい」


「…どうも」


俊彦は、すぐにペダルをこぎ始めた。


「お待たせしました!」


「あ、いえ…」


伊藤さんは、俊彦にしたのと同じ説明を私にもした。

「どうですか?」


ペダルをこぎ始めると、すぐに質問された。


「ちょっと、軽いかも、しれないです」


「じゃあ、この位ですか?」


伊藤さんがボタンを押すと、ペダルが少し重くなった。

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