《MUMEI》
10月6日(後編)。
結局、僕の金が使われてしまうんなら…




どうせ、貯金がゼロになってしまうんなら…




僕は朝イチで貯金を全額おろした……。




さすがに9600万円は重くスポーツバッグがパンパンになった。




銀行員も驚いていた。




早く家に帰ろう…。




そう思って焦ったが、バッグが重くてなかなか進まない。




“よしっ。タクシーでもひろうか…。”




タクシーに乗るため道路に目をやると、不自然に電柱に隠れる人影が見えた。




“ん?あの人は…。”




気付かなかったフリをしていると、電柱に隠れながら僕を尾行している奴の顔がはっきり見えた。





“…やっぱり。昨日の刑事だ。”




僕…疑われてるんだ…。




昨日はやけにあっさり帰してくれたと思ったら…僕の行動を監視してるんだな。




“…ってことは金持ってんのかなりヤベェじゃん。”




焦った僕は完全に挙動不審だっただろう…。




何故か、急いで銀行にお金を預けに戻った…。




また全額預けることになり、銀行員は更に驚いていた。




僕は動揺を隠しながら家に帰った。




窓から下を覗くと…やはり刑事は、僕の部屋を監視している。




“…何でなんだ?”




とにかく無音に耐えきれなくなりテレビをつけた。




ちょうどテレビでは、僕の町で起こった未解決事件の特集をやっていた。




キャスター
『え〜、残念ながら先日の暴行事件の被害者の女性は事件のショックから立ち直れず、自ら命を絶つという悲しい結末になってしまいました。
しかし、自殺直前に彼女は犯人について、警察に何かを語っていたという証言が入ってきました。
その証言を元に警察も犯人が絞れたのではないでしょうか?
果たして被害者女性の証言とは何だったのでしょうか?
我々の謎は深まるばかりですが、犯人逮捕の日も近いでしょう。』




“…あの女。”




死ぬ前に余計なことを…。




それで刑事が…。




僕、捕まりたくないよ…。




みんな勘違いしてるよ…。




だって僕はやってないんだ。




ただ…“日記”に書いただけなんだ…。




どこかに実行した真犯人がいるはずなんだ…。




怖いよ……。





怖い……。





僕じゃなーーっい!!!

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