《MUMEI》
ブーツ
11月に入ると、一気に寒さが増した。


(もう紅葉も終りだな…)


商店街の街路樹は、葉の数が少なくなっていて、かわりに歩道には、掃いても掃いても落ち葉がいつの間にか落ちていた。


私は、結子さんが『ダブルデートの記念に』と編んでくれた


俊彦とお揃いのグレーのマフラーをして、お昼の配達に向かっていた。


今日の弁当は、主食はなく、『六人分』のおかずだけだった。


「こんにちは」


私が『シューズクラブ』の裏口を開けると、そこにいたのは


『ベーカリー喜多村』に勤めている琴子だった。


「もう、着替えたの?」


私の質問に、琴子は無言で頷いた。


今日の琴子は、再来週旅行に行く時と同じ服装をしていた。


ちなみに、商店街の旅行は二つに分けて行くため、私は来週行く予定になっていた。


「じゃあ、私も着替えるね」


私は事務所の机におかずの入った袋を置いた。


隣には、琴子が持ってきた『ベーカリー喜多村』のフランスパンと食パンが置いてあった。


「一応…鍵閉めるけど、見張っててね」


私の言葉に琴子は頷いた。

そして私も旅行用の洋服に着替えた。


今日は、旅行用の靴を買う日だった

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