《MUMEI》

『琴子と蝶子が一緒に行けば、和馬と俊彦も一緒にいる事になるから、ファンも納得する』


そう、商店街の女性陣に説得されて、私と琴子は予定を合わせた。


いつもはスニーカーだけれど、『歩きやすいのにするから』と俊彦に説得され、私は担当を雅彦から俊彦にかえて、ブーツを買う事になった。


そして、俊彦の提案で、今日は『シューズクラブ』で、琴子も含めた六人でお昼を食べる事になったのだった。


「そういえば、商店街のイベントでハロウィンて無かったわよね」


かぼちゃのサラダを取り分けながら、私はふと感じた疑問を口にした。


ちなみに、今日のケーキはかぼちゃプリンタルトだった。


『花月堂』でもかぼちゃ餡の饅頭を売ったり、『ベーカリー喜多村』でもかぼちゃを使ったパンは販売していたが、商店街全体でハロウィンにちなんだイベントは無かった。


イベント好きな商店街にしては、珍しいなと思っていた。


「あぁ、…それは、なぁ?」


「うん」


俊彦の言葉に、雅彦が返事をした。


孝太も無言で頷いた。


「…和馬?」


「ここの場合、ある意味旅行がハロウィン状態だからな」


琴子の質問に、和馬が答えた。

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