《MUMEI》

越智さんはキツネにつままれた様な顔をしている。


知ってるくせに…


「どういうことって………だって佐久間さんには彼女がいるじゃないですか…」

「いないよ」


越智さんは即否定した。


私はそれが信じらなくて、思わず…


「ウソ!?だって私、佐久間さんの部屋で彼女と二人で写ってる写真を何枚も見つけましたよっ!」


やばっ…こんなこと言ったら部屋を探ったって思われるじゃない…


少し焦ったが、


「それは昔の彼女だよ」


また越智さんはあっさり答える。


それも納得が行かず、私はムキになって、


「でも…私、二人が車に乗って鎌倉に行くところも見ました!!やり直したのかもれませんよっ!?」


あ、影から見てたのがバレちゃう…


そんな焦る私を横目にして越智さんはまたもやあっさり言った。


「それは彼女じゃないよ」


意味が分からず、イライラした。


「じゃあ、なんだって言うんですかっ!?」





――…プッ



越智さんが吹き出しそうになる。


「何が可笑しいんですか」


「だって…」



越智さんはお茶を一口飲んで落ち着けてから、


「なるほど、それで愛加ちゃんは佐久間のこと嫌いになったんだね」


嬉しそうに私を見た。

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